仏教の中でも坐禅を行う宗派を禅宗と呼びます。
6世紀頃に開祖である達磨大師が中国へ渡り、禅宗は始まりました。
日本に伝わり、臨済宗、黄檗宗、曹洞宗といった20を超える宗派が生まれ現代まで引き継がれています。
坐禅によって己と対話し、無駄を省き万物に感謝するといった思想は後に茶道にも繋がり、精進料理や書道、水墨画作庭といった日常生活及び芸術分野にまで浸透し、禅文化として発展しています。
正しい姿勢で瞑想を行い、精神統一を行うのが坐禅です。
近年は集中力の向上などを効果として挙げられる場合もありますが本来は「ただ坐る」修行でありなにか目的をもって行うものではないとされます。
お線香1本分、およそ30分を1回として行われますが細かい作法は宗派によって違います。
「今」「ここ」「自分」という禅の重要な3つの要素に集中できるようそうでないもの(今でない過去や未来、ここでないどこか、自分でない他人のこと)を頭から消し、削ぎ落とします。
仏教の教えに従い殺生をしないため、肉や魚を使わない野菜中心の料理ということが知られている精進料理。
元々は禅宗の修行僧たちの食事ですので心身を浄化するという目的をもっていますが、それは調理から食事の所作、後片付けも一連の流れとして取らえられます。
禅寺では精進料理を担当する役職を典座と呼び、重要な役割として扱われます。
単なる野菜中心のレシピというわけではなく、四季の食材を無駄にせずリスペクトを持って扱うという禅の思想を基に作られています。
仏教哲学者である鈴木大拙が禅に関する本を多数翻訳したことで広く欧米に知られた禅は1960年代に大きくブームとなります。
宗教の枠を超え、生き方や思想の一つとして受け入れられた禅は近年ではマインドフルネスとも結び付けられ、スティーブ・ジョブズやマイケル・ムーアなど世界のエリート層も惹きつけています。